この数年でWEBマーケティングが一般的となりました。
理由はいくつか考えられますが、スマートフォンの普及によりWEBが多くの人に身近になった事が一つの要因です。
テレビCMや雑誌広告などいわゆる「旧来型のメディア」の効果が低迷する中、WEBマーケティングを活用するれば安価に大勢の人にリーチでき、分析が容易です。
今回は、現状の経済環境を把握し、WEBマーケティングをどのように活用すれば良いかを考えてみたいと思います。
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WEBマーケティングが必要とされる背景
バブル崩壊後1991年からの失われた20年が終わったといわれて久しいですが、2011年以降も経済状態はあまり変化していないという意見もあります。
失われた20年に比べ、株価は上昇傾向にあり、平均賃金も上がってきており、見た目の経済環境は上昇傾向ですが、一般的に「生活が楽になった」という声は聞こえてきません。
若者はお金を使わなくなったと言われ、貯蓄傾向の強い65歳以上の人口は約25%以上を占めています。
2018年からは年間約70万人の人口が減少して行きます。
人口減少が経済にもたらす意味は、「市場の消滅」と「労働者の減少」です。
一人当たりの年間支出は約250万円という統計がありますので、ざっくり、2兆円弱のマーケットが、今後、毎年消滅して行きます。
すなわち、今後、さらに厳しい顧客の奪い合いが発生するとともに、働き手がいなくなり事業が立ち行かなくなるという事です。
それでは、今後はどの様な施策をとれば良いのでしょうか?
旧来の考え方では立ち行かない時代
1970年以前に生まれた方は高度経済時代やバブル経済を体験していると思いますが、それ以降に生まれた世代は、「就職氷河期」「失われた10年」「失われた20年」などと言われる、経済停滞、デフレ時代に社会人になりました。
前者の方には実感がわかないかもしれませんが、経済が成長を続けている時代というのは、極短な話、誰がやってもビジネスは成功する環境と言えます。
例えば、経済成長率が年率10%だとすると、今年、100円で売っていた商品は、来年、110円で売れるという事になります。
特に、努力も工夫も何もしなくても、自動的に売上は毎年10%伸びるという事です。今思えば、こんな楽な環境は無いと思います。
しかも、お客は市場に溢れかえっています。誰もが「もっと欲しい!」「もっと豊かに!」と物を買う時代、働けば働くほど、売り上げは上がります。
株価も土地も上昇を続け、やがてバブルは臨界点を超え、はじける事になります。
そして、デフレの時代へ突入、「失われた20年」などと言われる時代となります。
しかし、ちょっと待ってください、デフレ時代への突入は、果たしてバブル経済が弾けたせいなのでしょうか?
戦後復興が続きモノが圧倒的に足りない時代、作れば売れる時代と言うのが続いていた、だから値段も上がり経済が拡大した、次第に消費より供給が増え、需給バランスが崩れた、市場が成熟して、競争時代に突入した、と言うのが正しい認識です。
決して、バブル経済崩壊の影響でもいわゆる「不況」でもありません。第一「不況」であれば、やがて状況が好転し「好況」を迎える筈です。こんなに長い「不況」はあり得ません。
フィリップ・コトラーの提唱するマーケティングの変遷
マーケティングの変遷は、フィリップ・コトラーが以下の様に提唱しています。
最初の段階の「ものを作れば売れる」「何もしなくても毎年売上が伸びる」時代を「マーケティング1.0」、「製品のマーケティング」と定義しています。
マーケティングの目的は「作った商品をどう売るか?」がテーマで、「プロダクトアウト」と言われています。
需要と供給の観点から言えば、まだまだ供給が追い付かず、マス市場向けの基本的な商品を潜在顧客に告知すれば飛ぶように売れる段階です。
戦後復興からバブル崩壊位までがこの状況でしょう。
「マーケティング1.0」の時代では「モノ」が圧倒的に足りないのですから、作れば売れる、経済は右肩上がり、「モノ」が行き渡るまで経済は拡大する、すなわち、人口規模の最大限までは経済が拡大していきます。
次の「マーケティング2.0」の段階は、いわゆる「消費者志向」です。
需要と供給が拮抗しており、「必要だから買う」のではなく、顧客個人の自己実現のために差別化された商品が求められる段階です。
消費者をどうやって満足させ、つなぎとめるかがマーケティングのテーマです。
「マーケティング3.0」になると、「価値主導」に、そして現在では「マーケティング4.0」が提唱され、インターネットの普及による「デジタル経済に対応したマーケティングのフレームワーク」が必要とされると説いています。
「マーケティング2.0」以降は、供給が需要を上回り、「プロダクトアウト」的な発想では商品が売れず、商品以外の「差別化」や「価値」が求められるようになります。
顧客側は買っても買わなくても良く供給過多の状態、すなわち「競争」へ突入して行きます。
競争の時代に対応するには
日本では、バブル経済崩壊あたりから「マーケティング2.0」に突入しており、「競争の時代」に突入したのは1998年ごろと言われています。
「競争の時代」とは、競合店が1店増えれば既存の1店がつぶれる、という事です。
今まで通りでは売れませんし、頑張っても、バブルの頃の様に24時間働いても、売れません。
では、どうすれば良いのでしょうか?
一つは、お客さんがいる所に場所を変える事です。ずっとこの場所で営業していたから、と言う理屈は通用しません。
お客様が来る場所、来やすい場所に、立地を変えるのです。競争がいなければ、バカ売れです。
歯医者さんなんかは経営が厳しいと言われていますが、沖縄では歯医者さんは足りませんので、思い切って沖縄で開業すると、上手く行きます。
立地の他に、「時間」を変更する事でも対応できることがあります。
コンビニで売れているのは弁当や食べ物が多いですが、普通のお弁当屋さんはこれにやられていますね。
これ、営業時間の問題だったりするのです。
コンビニなら、残業後に遅く帰っても何か買える、お弁当屋さんは閉まっている、ここに目を付けて、22時まで営業時間を延ばして、売上を伸ばしたお弁当屋さんもあります。
その他、商品の品揃え、素材、サイズ、量、提供方法を変えるなど、自分の都合ではなく、お客様の都合に合わせて行くことが大切です。
まずは、自社の商品やサービスがお客様の役に立ち、困りごとを解決し、求められる状態、競争に打ち勝てる状態を作らなければなりません。
お客様の困りごと解決からWEBマーケティングの活用へ
それでは、競争に打ち勝つにはどうすれば良いでしょうか?
ビジネスのテーマは「お客様の困りごとの解決」です。
これが出来ていないビジネスは、どんなマーケティングを行っても成立しませんし、競争に打ち勝つこともできないでしょう。
仮に、大規模なマーケティングにより初回の売上を獲得できたとしても、商品やサービスが求められる品質でなければ、二度とお客様は来てくれません。
「お客様の困りごとの解決」ができる商品やサービスを提供できる状態を作る事が先決です。
WEBマーケティングは安価で誰でもできますし、お客様との接点はパソコンやスマホの画面なので、デザインや文章力でいくらでも脚色することはできます。
しかし商品やサービスがボロボロなのに「告知」をしてお客様を呼んで、ボロボロの状態を見てもらってどうするのでしょう?
一度、買ってもらって、それっきりで良いのでしょうか?
WEBマーケティングは「告知」を中心としたお客様との接点を作る一つの手段でしかありません。
まずは、自分の商品やサービスが「お客様の困りごとの解決」できる状態なのかを確認してください。
もちろん、テストマーケティングのためにWEBマーケティングを使う事も考えられます。
クラウドファンディングがその代表例ですね。
WEBマーケティングはテストマーケティングと非常に相性が良いので、商品やサービスが「お客様の困りごとの解決」するのかを確認するために活用できます。
また、オウンドメディアを作る場合には、機能するまで半年~1年はかかりますので、運用と合わせて商品開発や改善を進めることができます。
まとめ
いかがでしょうか?
自分の商品やサービスが「お客様の困りごとの解決」し、WEBマーケティングを開始する状態でしょうか?
この課題をクリヤーすれば、必ず競争にも打ち勝つことができます。
商品やサービスを磨いた上で、大いにWEBマーケティングを活用しましょう。